「スーパーフード」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
テレビや雑誌で特集が組まれたり、スーパーやドラッグストアの棚に並んでいたりと身近な存在になってきています。
しかし「何となく健康に良さそう」というイメージはあっても、具体的にどんな食品でどのような効果があるのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、スーパーフードの基本から効果的な取り入れ方まで、わかりやすく解説します。健康維持のために食生活を見直したいと考えている方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

【読了目安時間:6分】

この記事でわかること

  • スーパーフードの定義と歴史
  • 具体的なスーパーフードの種類と栄養価
  • スーパーフードを取り入れる際の注意点
  • 日常の食事に無理なく取り入れるコツ

スーパーフードとは?

スーパーフードの定義

スーパーフードとは、一般的な食品よりも栄養価が高く健康維持や増進に役立つとされる食品の総称です。

明確な公的な定義や認定基準はなく、栄養学や代替医療の専門家によって「スーパーフード」と呼ばれる食品は少しずつ異なります。

しかし大まかな共通点としては次のような特徴があります。

  1. 栄養バランスに優れている:一般的な食品より栄養価が高い、またはある特定の栄養素・健康成分が突出して多く含まれている
  2. 食品とサプリメントの中間的な存在:料理の食材としての用途と健康食品としての用途を併せ持つ
  3. 伝統的な食経験がある:長い歴史の中で人々の健康に寄与してきた実績がある

スーパーフードの歴史

スーパーフードという言葉は、1980年代頃のアメリカやカナダで使われ始めました。

当初は食事療法を研究する医師や専門家の間で、有効成分を突出して多く含む食品に対して用いられていました。

一般に広く知られるようになったのはアメリカの医師スティーブン・プラットの著書『スーパーフード処方箋〜あなたの人生を変える14の食品』(2004年)がきっかけと言われています。

この本では「健康によい栄養分を豊富に含みながら多くは低カロリーである食品」という定義のもと、抗酸化作用が高いもの、生活習慣病の予防に良いものなどが紹介されました。

2000年代後半からはアメリカを中心に健康志向の高まりとともにスーパーフードブームが起こり、日本にも徐々に広まっていきました。

スーパーフードの認定基準

先述したようにスーパーフードには公的な認定制度はありません。しかし日本スーパーフード協会では以下のような基準を設けています。

  1. 「食歴」が長く何世紀にもわたって人々の健康に寄与してきた食品であること
  2. 安全性が確認されているもの
  3. スーパーフードの発祥地アメリカで一般的に「スーパーフード」として認知・評価されている食品であること

また同協会では特に重要と考えられる10種類を「プライマリースーパーフード10」として推奨しています。

主なスーパーフードとその特徴

スーパーフードと呼ばれる食品には様々な種類があります。

起源や特性に基づいていくつかのカテゴリーに分けてご紹介します。

プライマリースーパーフード10

日本スーパーフード協会が特に推奨する10種類の代表的なスーパーフードとその特徴です。

  1. スピルリナ:藻の一種でたんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富。特にビタミンB12が多く含まれています。
  2. マカ:南米ペルー原産の根菜。アミノ酸やミネラルが豊富で精力増強や更年期症状の緩和に効果があるとされています。
  3. クコの実(ゴジベリー):中国が原産の果実。抗酸化作用のあるβカロテンが豊富で目の健康維持に役立つとされています。
  4. カカオ:チョコレートの原料となる種子。ポリフェノールが豊富で血流改善や抗酸化作用があります。
  5. チアシード:中南米原産の種子。オメガ3脂肪酸や食物繊維が豊富で腸内環境の改善に役立ちます。
  6. ココナッツ:ヤシ科の果実。中鎖脂肪酸が豊富でエネルギー代謝を高める効果があるとされています。
  7. アサイー:南米原産のヤシ科の果実。抗酸化作用のあるアントシアニンが豊富です。
  8. カムカム:アマゾン原産の果実。ビタミンCが極めて豊富でレモンの約30倍含まれています。
  9. ブロッコリースーパースプラウト:ブロッコリーの新芽。抗酸化作用のあるスルフォラファンという成分が豊富です。
  10. 麻の実(ヘンプ):アサの種子。必須脂肪酸や良質なたんぱく質が豊富です。

様々なスーパーフード

スーパーフードは原材料や特性によっていくつかのカテゴリーに分けることができます。

カテゴリー スーパーフード 特徴・栄養成分 主な健康効果
植物由来 キヌア 高たんぱく、必須アミノ酸をバランス良く含む 筋肉の維持、栄養バランスの向上
モリンガ ビタミン、ミネラル、アミノ酸が豊富 総合的な栄養補給、抗酸化作用
ナッツ・種子類 アーモンド ビタミンEが豊富 抗酸化作用、心血管系の健康維持
フラックスシード(亜麻仁) オメガ3脂肪酸、食物繊維が多い 腸内環境改善、抗炎症作用
カカオ系 カカオニブ ポリフェノールが豊富 血流改善、脳機能向上
ダークチョコレート カカオ含有量70%以上 抗酸化作用、心血管系の健康維持
動物由来 サーモン オメガ3脂肪酸が豊富 脳機能向上、心血管系の健康維持
ヨーグルト プロバイオティクスを含む 腸内環境改善、免疫力向上

身近な日本のスーパーフード

海外から輸入される特殊な食材だけがスーパーフードではありません。日本の食卓にも昔から並んでいる食材の中にもスーパーフードと呼べるものがたくさんあります。

  • 納豆:発酵大豆食品で良質なたんぱく質や納豆キナーゼという酵素が豊富。血液をサラサラにする効果が期待されています 
  • 味噌:発酵食品で腸内環境を整え、免疫力向上に役立つとされています 
  • 緑茶:カテキンなどのポリフェノールが豊富で抗酸化作用があります 
  • 海藻類:わかめ、昆布、ひじきなどはヨウ素やカルシウムなどのミネラルが豊富で低カロリーです 
  • 大豆製品:豆腐、湯葉などは良質なたんぱく質やイソフラボンが豊富です 
  • 青魚:さば、さんま、いわしなどはオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が豊富で血管の健康維持に役立ちます

スーパーフードを取り入れる際の注意点

スーパーフードには確かに栄養価の高いものが多いですが、これらを食べるだけで健康になれるわけではありません。

健康は日々の食生活や運動習慣、睡眠など様々な要素によって維持されるものです。

スーパーフードは「万能薬」ではなく、バランスの良い食事を補完するものとして考えるのが適切です。

また一部のスーパーフードには医薬品との相互作用があるものもあるため、持病のある方は医師や薬剤師に相談してから取り入れることをおすすめします。

バランスの良い食生活が基本

健康的な食生活の基本は主食・主菜・副菜をバランスよく摂ることです。
厚生労働省が推奨する「日本人の食事摂取基準」や農林水産省の「食事バランスガイド」などを参考に、まずは基本的な食事のバランスを整えることが大切です。

その上でスーパーフードを取り入れることで、より栄養バランスが良くなったり特定の健康課題に対応したりすることができます。
例えば食物繊維の摂取を増やしたい場合は食事にチアシードを加えるなど、目的に応じた活用が効果的です

無理なく続けるために

スーパーフードを生活に取り入れる際には無理なく続けられることが重要です。
いきなりたくさんの種類を取り入れようとするのではなく、まずは1種類から始めて徐々に増やしていくのがおすすめです。

例えば朝食のヨーグルトにチアシードをひとさじ加えたり、おやつにカカオを含む高カカオチョコレートを少量食べたりするなど、日常的な食事に取り入れやすい形から始めましょう。

また、スーパーフードの中には独特の風味や食感があるものもあります。
自分の好みに合わないものを無理に食べ続けるよりは、自分が美味しいと感じられるものを選ぶことが長続きのコツです。

まとめ:スーパーフードとの上手な付き合い方

スーパーフードは一般的な食品よりも栄養価が高く健康維持に役立つ可能性のある食品です。
しかしこれらを摂取するだけで健康になれるわけではなく、バランスの良い食生活の中に取り入れることが大切です。

スーパーフードを活用する際のポイントをおさらいしましょう。

  1. 基本はバランスの良い食事:主食・主菜・副菜のバランスが取れた食事を基本に
  2. 一日一種類から始める:無理なく続けることが大切
  3. 目的に合わせて選ぶ:自分の健康課題や目標に合ったものを選ぶ
  4. 身近なスーパーフードも活用:高価な輸入食品だけがスーパーフードではない

健康づくりは一朝一夕にできるものではなく日々の積み重ねが大切です。スーパーフードを上手に活用して、より健やかな毎日を送りましょう。