いつまでも元気に自分の足で歩き、自分らしい生活を送りたい。
そんな願いを叶えるために意外と見落とされがちなのが「骨の健康」です。
年齢とともに骨はもろくなりちょっとした転倒で骨折することも。特に女性は閉経後急速に骨密度が低下するといわれています。でも骨の健康は早めの対策で守ることができるのです。
この記事では骨の健康について知っておきたい基礎知識から予防法、検査の受け方までわかりやすく解説します。
【読了目安時間:7分】
この記事のポイント
「最近背が縮んだかも…」「転びやすくなった気がする…」こんな心配をお持ちではありませんか?実はこれらは骨の健康状態に関わるサインかもしれません。
この記事はこんな人におすすめです
- 50代以上の方、特に閉経を迎えた女性
- 健康寿命を延ばしたいと考えている方
- 家族に骨折を経験した、または骨粗鬆症と診断された人がいる方
- 将来に備えて骨の健康維持に取り組みたい方
骨の健康を守ることの重要性
年齢とともに増加する骨折リスク
「人生100年時代」といわれる今、単に長生きするだけでなく健康で自立した生活を送る期間(健康寿命)を延ばすことが重要になっています。
日本人の平均寿命と健康寿命の差は約10年。この差を縮めるためにも骨の健康管理は欠かせません。
骨がもろくなるとほんの少しの衝撃でも骨折する危険性が高まります。例えば以下のようなケースで骨折することがあります。
- 重い荷物を持ち上げた瞬間に背骨が折れる
- 予想より少し低かった椅子に座ろうとして衝撃で骨折
- 畳の縁などわずかな段差につまずいて転倒し手首や股関節を骨折
このような骨折はその後の生活の質を大きく低下させる原因になります。
寝たきりの状態になったり行動範囲が狭まることで筋力が低下しさらに骨がもろくなるという悪循環に陥ることもあります。
骨とは何か?その役割と構造
骨の主な役割
骨は単に体を支える「フレーム」というだけではありません。実は以下のような重要な役割を担っています:
- 体を支え内臓を保護する:骨格として体の形を維持し脳や心臓などの重要な臓器を守ります。
- カルシウムの貯蔵庫:体内のカルシウムの99%は骨に蓄えられています。血液中のカルシウム濃度を一定に保つため、必要に応じて骨からカルシウムを取り出したり骨に戻したりしています。
- 血液細胞を作る:骨の内部にある骨髄では赤血球や白血球、血小板などの血液細胞が作られています。
このうち特に「カルシウムの貯蔵庫」としての役割は女性の骨の健康に大きく影響します。
藤田医科大学の鈴木敦詞先生によると、女性は赤ちゃんにミルクを与える兼ね合いから、骨からカルシウムを取り出す能力が元々男性より優れているが、この特性が女性ホルモンが減少する閉経後には骨がもろくなりやすい一因となっているそうです。
(参考:骨のコラム:人生100年時代の今、専門家が語る正しい骨との向き合い方)
骨密度とは
骨密度とは骨の中の一定面積に含まれるカルシウムなどのミネラル量のことです。骨密度が高いほど骨は丈夫と言えます。
骨密度の目安
- 若年層(20〜44歳)の平均値の70%以下になると骨粗鬆症と診断される可能性がある
- つまり若い頃よりも骨のカルシウム量が3割減ると骨折のリスクが高まる
骨密度検査の種類と特徴
検査方法 |
特徴 |
測定部位 |
メリット |
検査場所 |
費用の目安 |
DXA(DEXA)法 |
最も精度が高い低線量のX線を使用 |
腰椎や大腿骨 |
最も正確な結果が得られる |
病院 専門検査機関 |
1,500〜2,500円 (保険3割負担時) |
超音波法 |
超音波を使用 X線は使用しない |
かかとや手首 |
簡易的で短時間 手軽に実施可能 |
健診センター 一部クリニック |
1,000〜2,000円 (自費の場合あり) |
MD法 (X線吸収法) |
簡易的な検査法 |
腕の骨 |
一般的なX線検査と同時に行える |
整形外科 内科など |
保険診療内で実施 (単独では少ない) |
健診・人間ドックでの骨密度検査
人間ドックや健康診断で骨密度検査を受けたい場合、多くの医療機関ではオプション検査として提供しています。
- 一般的な健診施設:主に超音波法を採用(手軽で短時間、簡便に実施できるため)
- 大規模な健診センター・大学病院など:DXA法を提供している場合もあり
- 健診オプションの費用目安:3,000~5,000円程度(自費)
どの検査を選ぶべき?
- 最も正確な診断が必要な場合:DXA法(医師の紹介で専門医療機関にて)
- スクリーニング目的の場合:超音波法(健診センターや一部クリニックで手軽に受けられる)
- 定期的な健診と一緒に受けたい場合:健診施設で提供されているオプション検査(多くは超音波法)
骨密度検査の選択は、ご自身の状況や目的によって異なります。
骨粗鬆症のリスクが心配な方は、まずかかりつけ医に相談し、適切な検査方法をご案内してもらうことをお勧めします。特に50歳以上の女性は、定期的な検査が重要です。
受診する診療科
骨密度検査は主に以下の診療科で受けることができます:
- 整形外科:骨粗鬆症の診断・治療は主に整形外科で行われるため最も一般的
- 内分泌内科:骨代謝に関わるホルモン異常が疑われる場合はこちらでも検査可能
- 婦人科:閉経前後の女性の場合は婦人科で相談することもできる
- 総合内科:一般的な健康診査の一環として
病院やクリニックによって検査機器の設置状況は異なりますので、事前に確認するとよいでしょう。
また人間ドックや健康診断のオプション検査として実施している医療機関も増えています。
骨密度検査を受けるべき人
以下に当てはまる方は骨密度検査を受けることをお勧めします:
- 50歳以上の女性(特に閉経後)
- 家族に骨粗鬆症の人がいる
- 背が縮んできた、姿勢が悪くなった
- 軽い転倒で骨折したことがある
- 過去にステロイドを長期間使用したことがある
骨の健康状態をチェックする日常のサイン
医療機関での検査以外にも以下のようなサインは骨の健康状態を示すヒントになります:
- 身長の低下
- 若い頃に比べて2cm以上低くなっている場合は注意が必要
- 4cm以上低くなっている場合はすでに背骨の圧迫骨折が起きている可能性が高い
- 転倒の頻度
- 1年間に予期せぬ転倒が1回でもあれば骨折のリスクが上昇
- 物へのぶつかりやすさ
- 部屋の入り口やたんすなどにぶつかりやすくなることも注意が必要
- 体の位置感覚が低下している可能性がある
- 歩行速度の低下
- 信号が変わるまでに余裕を持って横断歩道を渡り切れるか
- 目安として秒速1m未満は転倒リスクが上昇する
「予防」の重要性
なぜ予防が重要なのか
骨粗鬆症をはじめとする骨の疾患は、一度発症してしまうと完全に元の状態に戻すことが難しいのが特徴です。
特に骨折してしまうと回復には時間がかかり、その間に筋力や全身の機能が低下してしまうことも少なくありません。
さらに骨粗鬆症は「沈黙の病気」とも呼ばれ、骨折するまで自覚症状がほとんどないため、定期的な検査で早期発見することが重要です。
いつから検査を受けるべきか
骨密度検査は女性の場合は50歳頃から受けることが理想的です。その時点で異常がなければ、その後は5年ごとの検査でよいとされています。
50歳での検査が難しい場合でも、閉経から5年後または60歳頃には検査を受けることが望ましいです。
遅くとも70歳までには一度きちんとした検査を受けることをお勧めします。
骨の健康を保つための対策
日常生活での対策
- 適切な運動
- ウォーキングや軽いジョギングなどの「荷重運動」が効果的
- バランス感覚を鍛える体操も転倒予防に役立つ
- バランスの良い食事
- カルシウムを多く含む食品(乳製品、小魚、海藻類など)
- ビタミンD(日光浴、魚類)
- ビタミンK(納豆、緑黄色野菜)
- たんぱく質(肉、魚、大豆製品)
- 生活環境の整備
- 家の中の段差をなくす
- 手すりを設置する
- 滑りにくい床材や靴を使用する
医学的アプローチ
自己判断だけでは実際の骨の状態を正確に把握することは困難です。
「骨太だから大丈夫」「運動しているしカルシウムも摂っているから大丈夫」という自己認識が実態に即しているとは限りません。
骨の健康に不安がある場合は専門家に相談することが大切です。医療機関では骨密度検査の結果だけでなく、年齢やライフスタイルなどを総合的に判断して適切なアドバイスを受けることができます。
早期発見と早期対策が健康寿命を延ばす鍵となります。
まとめ:今日から始める骨の健康管理
骨の健康は一朝一夕で得られるものではありません。日々の生活習慣の積み重ねが将来の骨の健康を左右します。
主なポイント
- 50歳頃(女性は特に閉経後)から骨密度検査を受けることが望ましい
- 背が縮む、転びやすくなるなどの変化に注意する
- バランスの良い食事と適切な運動を心がける
- 家の中の安全対策も忘れずに
「歳だから仕方ない」と諦めるのではなく、適切な時期に自分の体の状態を知り専門家の助言を踏まえて対策を打つことが大切です。
骨の健康について疑問があれば、お気軽にコスモファーマの薬剤師にご相談ください。皆様の健康寿命を延ばすお手伝いをさせていただきます。
健康な骨でイキイキとした毎日を過ごしましょう!
いつまでも元気に自分の足で歩き、自分らしい生活を送りたい。
そんな願いを叶えるために意外と見落とされがちなのが「骨の健康」です。
年齢とともに骨はもろくなりちょっとした転倒で骨折することも。特に女性は閉経後急速に骨密度が低下するといわれています。でも骨の健康は早めの対策で守ることができるのです。
この記事では骨の健康について知っておきたい基礎知識から予防法、検査の受け方までわかりやすく解説します。
【読了目安時間:7分】
この記事のポイント
「最近背が縮んだかも…」「転びやすくなった気がする…」こんな心配をお持ちではありませんか?実はこれらは骨の健康状態に関わるサインかもしれません。
この記事はこんな人におすすめです
- 50代以上の方、特に閉経を迎えた女性
- 健康寿命を延ばしたいと考えている方
- 家族に骨折を経験した、または骨粗鬆症と診断された人がいる方
- 将来に備えて骨の健康維持に取り組みたい方
骨の健康を守ることの重要性
年齢とともに増加する骨折リスク
「人生100年時代」といわれる今、単に長生きするだけでなく健康で自立した生活を送る期間(健康寿命)を延ばすことが重要になっています。
日本人の平均寿命と健康寿命の差は約10年。この差を縮めるためにも骨の健康管理は欠かせません。
骨がもろくなるとほんの少しの衝撃でも骨折する危険性が高まります。例えば以下のようなケースで骨折することがあります。
- 重い荷物を持ち上げた瞬間に背骨が折れる
- 予想より少し低かった椅子に座ろうとして衝撃で骨折
- 畳の縁などわずかな段差につまずいて転倒し手首や股関節を骨折
このような骨折はその後の生活の質を大きく低下させる原因になります。
寝たきりの状態になったり行動範囲が狭まることで筋力が低下しさらに骨がもろくなるという悪循環に陥ることもあります。
骨とは何か?その役割と構造
骨の主な役割
骨は単に体を支える「フレーム」というだけではありません。実は以下のような重要な役割を担っています:
- 体を支え内臓を保護する:骨格として体の形を維持し脳や心臓などの重要な臓器を守ります。
- カルシウムの貯蔵庫:体内のカルシウムの99%は骨に蓄えられています。血液中のカルシウム濃度を一定に保つため、必要に応じて骨からカルシウムを取り出したり骨に戻したりしています。
- 血液細胞を作る:骨の内部にある骨髄では赤血球や白血球、血小板などの血液細胞が作られています。
このうち特に「カルシウムの貯蔵庫」としての役割は女性の骨の健康に大きく影響します。
藤田医科大学の鈴木敦詞先生によると、女性は赤ちゃんにミルクを与える兼ね合いから、骨からカルシウムを取り出す能力が元々男性より優れているが、この特性が女性ホルモンが減少する閉経後には骨がもろくなりやすい一因となっているそうです。
(参考:骨のコラム:人生100年時代の今、専門家が語る正しい骨との向き合い方)
骨密度とは
骨密度とは骨の中の一定面積に含まれるカルシウムなどのミネラル量のことです。骨密度が高いほど骨は丈夫と言えます。
骨密度の目安
- 若年層(20〜44歳)の平均値の70%以下になると骨粗鬆症と診断される可能性がある
- つまり若い頃よりも骨のカルシウム量が3割減ると骨折のリスクが高まる
骨密度検査の種類と特徴
検査方法 |
特徴 |
測定部位 |
メリット |
検査場所 |
費用の目安 |
DXA(DEXA)法 |
最も精度が高い低線量のX線を使用 |
腰椎や大腿骨 |
最も正確な結果が得られる |
病院 専門検査機関 |
1,500〜2,500円 (保険3割負担時) |
超音波法 |
超音波を使用 X線は使用しない |
かかとや手首 |
簡易的で短時間 手軽に実施可能 |
健診センター 一部クリニック |
1,000〜2,000円 (自費の場合あり) |
MD法 (X線吸収法) |
簡易的な検査法 |
腕の骨 |
一般的なX線検査と同時に行える |
整形外科 内科など |
保険診療内で実施 (単独では少ない) |
健診・人間ドックでの骨密度検査
人間ドックや健康診断で骨密度検査を受けたい場合、多くの医療機関ではオプション検査として提供しています。
- 一般的な健診施設:主に超音波法を採用(手軽で短時間、簡便に実施できるため)
- 大規模な健診センター・大学病院など:DXA法を提供している場合もあり
- 健診オプションの費用目安:3,000~5,000円程度(自費)
どの検査を選ぶべき?
- 最も正確な診断が必要な場合:DXA法(医師の紹介で専門医療機関にて)
- スクリーニング目的の場合:超音波法(健診センターや一部クリニックで手軽に受けられる)
- 定期的な健診と一緒に受けたい場合:健診施設で提供されているオプション検査(多くは超音波法)
骨密度検査の選択は、ご自身の状況や目的によって異なります。
骨粗鬆症のリスクが心配な方は、まずかかりつけ医に相談し、適切な検査方法をご案内してもらうことをお勧めします。特に50歳以上の女性は、定期的な検査が重要です。
受診する診療科
骨密度検査は主に以下の診療科で受けることができます:
- 整形外科:骨粗鬆症の診断・治療は主に整形外科で行われるため最も一般的
- 内分泌内科:骨代謝に関わるホルモン異常が疑われる場合はこちらでも検査可能
- 婦人科:閉経前後の女性の場合は婦人科で相談することもできる
- 総合内科:一般的な健康診査の一環として
病院やクリニックによって検査機器の設置状況は異なりますので、事前に確認するとよいでしょう。
また人間ドックや健康診断のオプション検査として実施している医療機関も増えています。
骨密度検査を受けるべき人
以下に当てはまる方は骨密度検査を受けることをお勧めします:
- 50歳以上の女性(特に閉経後)
- 家族に骨粗鬆症の人がいる
- 背が縮んできた、姿勢が悪くなった
- 軽い転倒で骨折したことがある
- 過去にステロイドを長期間使用したことがある
骨の健康状態をチェックする日常のサイン
医療機関での検査以外にも以下のようなサインは骨の健康状態を示すヒントになります:
- 身長の低下
- 若い頃に比べて2cm以上低くなっている場合は注意が必要
- 4cm以上低くなっている場合はすでに背骨の圧迫骨折が起きている可能性が高い
- 転倒の頻度
- 1年間に予期せぬ転倒が1回でもあれば骨折のリスクが上昇
- 物へのぶつかりやすさ
- 部屋の入り口やたんすなどにぶつかりやすくなることも注意が必要
- 体の位置感覚が低下している可能性がある
- 歩行速度の低下
- 信号が変わるまでに余裕を持って横断歩道を渡り切れるか
- 目安として秒速1m未満は転倒リスクが上昇する
「予防」の重要性
なぜ予防が重要なのか
骨粗鬆症をはじめとする骨の疾患は、一度発症してしまうと完全に元の状態に戻すことが難しいのが特徴です。
特に骨折してしまうと回復には時間がかかり、その間に筋力や全身の機能が低下してしまうことも少なくありません。
さらに骨粗鬆症は「沈黙の病気」とも呼ばれ、骨折するまで自覚症状がほとんどないため、定期的な検査で早期発見することが重要です。
いつから検査を受けるべきか
骨密度検査は女性の場合は50歳頃から受けることが理想的です。その時点で異常がなければ、その後は5年ごとの検査でよいとされています。
50歳での検査が難しい場合でも、閉経から5年後または60歳頃には検査を受けることが望ましいです。
遅くとも70歳までには一度きちんとした検査を受けることをお勧めします。
骨の健康を保つための対策
日常生活での対策
- 適切な運動
- ウォーキングや軽いジョギングなどの「荷重運動」が効果的
- バランス感覚を鍛える体操も転倒予防に役立つ
- バランスの良い食事
- カルシウムを多く含む食品(乳製品、小魚、海藻類など)
- ビタミンD(日光浴、魚類)
- ビタミンK(納豆、緑黄色野菜)
- たんぱく質(肉、魚、大豆製品)
- 生活環境の整備
- 家の中の段差をなくす
- 手すりを設置する
- 滑りにくい床材や靴を使用する
医学的アプローチ
自己判断だけでは実際の骨の状態を正確に把握することは困難です。
「骨太だから大丈夫」「運動しているしカルシウムも摂っているから大丈夫」という自己認識が実態に即しているとは限りません。
骨の健康に不安がある場合は専門家に相談することが大切です。医療機関では骨密度検査の結果だけでなく、年齢やライフスタイルなどを総合的に判断して適切なアドバイスを受けることができます。
早期発見と早期対策が健康寿命を延ばす鍵となります。
まとめ:今日から始める骨の健康管理
骨の健康は一朝一夕で得られるものではありません。日々の生活習慣の積み重ねが将来の骨の健康を左右します。
主なポイント
- 50歳頃(女性は特に閉経後)から骨密度検査を受けることが望ましい
- 背が縮む、転びやすくなるなどの変化に注意する
- バランスの良い食事と適切な運動を心がける
- 家の中の安全対策も忘れずに
「歳だから仕方ない」と諦めるのではなく、適切な時期に自分の体の状態を知り専門家の助言を踏まえて対策を打つことが大切です。
骨の健康について疑問があれば、お気軽にコスモファーマの薬剤師にご相談ください。皆様の健康寿命を延ばすお手伝いをさせていただきます。
健康な骨でイキイキとした毎日を過ごしましょう!